CDR(クラッシュデータリトリーバル)
ボッシュはイベントデータレコーダ―(EDR)読み出しおよびCDRなどのイメージング技術において世界をリードしています。
全世界24自動車メーカー・65ブランド・1,000モデル以上に対応するボッシュのCDRとともに、より透明性の高い自動車事故解析の実現へ。
CDR(クラッシュデータリトリーバル)とは
CDRツールは車両に搭載されたEDRに記録されたデータを読み出し、自動車メーカーの定める仕様に沿って変換し、レポート形式で出力するボッシュ独自のツールとアプリケーションです。
自動車事故が発生した際に車両のEDRに記録された様々なデータを取得し、事故事象に関する客観的な証拠となるデータをレポートとして出力することができます。
自動車メーカーとの契約に基づき、多くのサプライヤー製のエアバッグコントロールユニットに搭載されたEDRからのデータ読み出しが可能となっています。その汎用性は非常に高く、現時点で全世界24自動車メーカー・65ブランド・1,000モデル以上のEDRデータ読み出しに対応しています。
現在は自動車メーカーだけにとどまらず、警察組織、保険会社、研究機関をはじめとして利活用が進んでおり、整備工場や中古車流通など、今後はさらに幅広いユーザーにとって重要な存在となるでしょう。
EDR(イベントデータレコーダー)とは
EDRとは、エアバッグの展開を伴う衝突やそれに類似する事象(イベント)の前後の時間において、運転者の操作(アクセル、ブレーキ、ステアリング、シートベルト等)、車両制御の状態(車速、エンジン回転、ABS/ESP 制御状態等)、車両の状態(衝撃の大きさ、加速度等)など様々なデータを時系列で記録する装置です。
車両に搭載されたエアバッグのコントロールユニットに実装された機能の1つであり、日本国内においては2022年7月以降の新型車には法律で搭載が義務付けられています。
EDRはボッシュ製のエアバッグコントロールユニットに限らず、世界中の様々な部品サプライヤー製のエアバッグコントロールユニットに搭載されています。

EDRの記録機能( プレクラッシュ・ポストクラッシュデータ)

EDRはイベント記録トリガー(TIME0)がかかった点前後のデータを記録します。データは事故発生前 と後の2種類に分類され、事故発生時までの状態が記録されているデータは「プレクラッシュデータ」、事故発生時から運動量の交換が終了するまでの状態を記録されているデータは「ポストクラッシュデータ」と呼ばれます。
EDRに記録されたこの2種類のデータは、CDRに接続することでデータの出力・読み取り・解析・レポート化が可能となるため、EDRおよびCDRは事故事象の解析に非常に重要な役割を担っています。

CDRでできること
EDRは主に車両の重心近くに配置されるエアバッグECUに搭載されていて、ECUに内蔵された加速度センサーなどで事故などの際に受けた衝撃の大きさやその方向を記録しています。
例えば、車体が受けた衝撃の大きさや方向が分かるということは、その車体の骨格部分に対してどの方向にどれだけの大きさの入力があったのかを知ることができることになるため、事故の際にその車両にはどの程度の損傷が発生したのか、ある程度推測することも可能となると考えられています。
事故解析におけるCDRの重要性
通常、交通事故発生時には当事者の証言、車両の状況、現場の物的証拠をもとに事故の原因や状況の解析が行われています。しかし、当事者の証言は記憶に頼る部分が大半であり、車両の損傷や現場の証拠などを組み合わせても曖昧で不確かな部分が残る中、事故の経緯や状況の再現・推定をしています。
昨今の防犯カメラやドライブレコーダーの普及に伴い、事故の原因解明につながるより多くの情報収集が可能になってはいますが、依然不確かな部分が残り、事故の再現を通じて推測せざるを得ない状況が多いのではないでしょうか。


そのような事故解析の曖昧さを払拭する画期的なツールとしてCDRは注目されています。
なぜなら、CDRツールユーザーは、事故に至る数秒間の車両の走行状態やドライバーの運転操作の状態などの情報(プレクラッシュ情報)や衝突による衝撃の大きさや方向に関する情報(ポストクラッシュ情報)のデータ出力を行えるからです。
CDRレポートは、当事者の証言、車両の状況、現場の物的証拠の更なる証拠となるため、事故解析に非常に重要な役割を担うことがわかるでしょう。
CDRデータを活用した事故解析事例
SEDANのデータによる解析結果例
複雑なデータを分析、解析することで以下のようなことが分かります。
CDRの活用を検討中の方へ
CDRから出力されるEDRデータは非常に多くの有用なデータの集合体ですが、正しい理解と解析には多くの知識と能力が必要となります。 ボッシュでは市場における適切なCDRツールの利活用を目的として、アナリストとテクニシャンの二種類の認定制度に基づきCDRを市場導入しております。
【CDR関連資格制度】
CDRアナリスト
EDR読出し及びCDRレポートを解析、事故再現を行う。EDRの読み出し及び解析まで行える資格。
CDRテクニシャン
EDRの読出し及び写真等のエビデンス取得。EDRデータの読出しが可能(但し、事故の詳細なデータはCDRテクニシャンのライセンスではレポート化されません)。
※CDRハードウェアおよびライセンスに関しては、上記いずれかの資格保有をしている場合にのみ購入可能となります。